■検非違使別当の実務とは?
別当職について。神社の調査をしている私には、別当というと
社寺の別当が浮かぶのだが()...
まず、検非違使とは。律令にのってない官職である。
左右の衛門府(内裏の外を警備するのが衛門府。貴族の警備が近衛府、
内裏の中の警備が兵衛府である)から
選抜された衛士たちなので、検非違使は皆、衛門府の役人の兼任である。
別当は左右どちらか衛門府の長でもある。つまり、左右衛門府
ニアリイコール検非違使庁。ただし左右衛門府は350人くらい役人
がいるが、検非違使は数十名、精鋭部隊らしい。
衛門府衛士と検非違使は、制服が同じなので
見た目がそっくり...いや同じである。衛門府衛士は、
必ず弓と矢筒(靫)を携帯している。弓をいつももってるので、
衛門府は別名「靫負司(ゆげの
つかさ)」、検非違使庁は「靫負司庁」なんだって。
うーん、かっこいい。
ただ上級管理職の佐と別当はまさか制服は着ていまい...。
検非違使の管理職の皆さんは何をしてるのでしょう?
えーと別当直下の佐は、
いわゆる総務。
現場にいませんな。その下の「尉(じょう)」から下が、
現場に出る武官。貴族が任命されるのですが、反乱の追討や
事件の裁判を行う職です。
源義経は判官とよばれますが、この衛門府の「尉」に任命
されていたからなのデス。
では長である検非違使別当の仕事をみてみましょう。
別当は検非違使庁では、一番えらいヒト。まず「これこれこのような事件があり、
このように処理した」という、検非違使佐以下府生(見習にあたる)までで
行う「政」なる会議の結果に目を通す。最も多いのが庶民の
死体の処理のはずだが、これはさすがに別当までは報告があがらない
かも...。別当宣がいる場合はサインする。
死体の次は、ドロボーやケンカの処理とかであろう。これらも目を通し損ねる
と、たぶん、なんか報告すべきものがあった場合にまずいんだろうなあ。次に、京のあちこちからくる陳情書のような
ものを決済する。要求を受けて実施するか、理由を書いて
断る、らしい。さらに、太政官たちから「京の治安を
守る」関連の仕事をいいつかるらしいが、詳細が不明。
つまり、これらの文書の処理と、陳情解決のための
指示を文書で出すのが別当の日常業務なのである。
思いっきりデスクワークやんか。
あんだけ京中走り回ってる別当は、歴史上おるまい....
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