Haruka2 Essay

剣と弓の物語:平安編−2

剣と弓の物語のオリジナルは
こちら


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 □本日は、平安時代後期の武器談話を、某ADVゲーム「遥か2」
 の登場人物の皆様にお話をしていただく「剣と弓の物語:平安編」
 の続編にございます。

 □剣と弓ルートからお越しの皆様のため登場人物の解説。
  花梨--主人公の女子高校生。1110年?くらいに飛ばされてます。
  源頼忠--北面の武士、清和源氏。武器は太刀です。
  平勝真--京職の桓武平氏。自称下級貴族。唯一の弓手
  藤原幸鷹--藤原北家の太政官、検非違使別当殿。
  彰紋--この時代の東宮様。帝の弟です。

 ☆今回出るのは、花梨と勝真くん、フロクに頼忠さん。
  あと例によって幸鷹が少し出ます。

 時は旧暦の1月18日。現代なら、正月気分も抜けかけたころであるが、 平安京ではまったく逆。元旦から山積した儀式・政務そのたをクリアしながら、 お役人の皆様、いいかげん疲労困憊・ヘロヘロになってる頃である。

 はるか2でいえば、最も死にかけてるのは、大晦日(29日)から元旦にかけての 「追儺〜四方拝〜朝賀〜行幸」と続く徹夜休みナシの36時間耐久儀式マラソンをクリアし、 さらに15日ごろまで、ほぼ毎日儀式や宴会にでなくてはならない、 東宮さまであろう。
 これらの年初めの儀式は、作法が複雑で、皇族・太政官全員出席が 義務づけられている。東宮たるもの、ゼッタイドジはふめまい。 特に、11日〜13日は除目(人事異動を決める会議)という、 まあおよそ意見がまとまらなそうな、太政官全員そろっての 大会議がまちうけている。 彰紋くん、神社によってる余裕なんてないだろほんとは。
 なお、東宮様とほぼ同じコースをとらなければならない、親王の泉水氏、 摂関家の幸鷹氏も、東宮ほどではないが、かなりヘロヘロと想像される。 特にまるっきり慣れてなさそうな泉水さん....生きてるといいけど。

 1月18日とは。天皇の御前での競射の会・射礼の翌日である。





花梨勝真さーん!おはよっ。 ねえ、昨日はかっこよかったね!みんなびっくりしてたじゃない。

勝真「そりゃ、どーも。 あの程度で、いちいち驚かないでもらいたいもんだ。」

花梨 ん、もー。たまには素直に喜んでよ。ここ数年の射礼で 皆中の人なんていないっていってたよ、彰紋くん。」

勝真「そりゃ、オレが出なかったからだ。」

花梨...事実なので、つっこめないです。 あのね、あたしがびっくりしたのは、勝真くんたらちゃんと 普通に服着てでてきたんだもん。しかも白装束で。。」

勝真「あのなあ。それじゃオレがまるでいつも服着てない みたいだろ!それに射礼は御前の神事だ。それなりのしきたりに 従わないと、効能がないだろが。」

花梨 へえ、勝真さんて、 儀礼とかしきたりとかきらいなんだと思ってました。 そういえば昨日も、奉納弓の前の儀式もなんかこー完璧で、頼忠さんと幸鷹さん、 目が点になってましたよ。

勝真「...儀式ってほどのものじゃないだろ。 あいつら、オレがテコでも儀式はやらないとでも思ってんのか?」

花梨いや、とゆーか。 両袖通して、髪も結んでる勝真さんみたの初めてだったのでは....

勝真「(服をフツーに着ただけでこんだけ驚かれる俺って、 いったい...) ああ、もちろん、意味の無い制服やら宴会やらの 儀礼はきらいだけどな。」

花梨ふふ、それがなければ、 とっくに兵衛府あたりに引き抜かれてますな、なんて、 いってたわよ、頼忠さん。

勝真「..あいつが?そんなこといってたの?!」

花梨ええ、頼忠さん珍しくごきげん でしたから、勝真さんの競射のあと。ふふ、理由知りたい?

勝真「???教えろ。」

花梨教えてください、でしょ。

勝真「はいはい。では花梨様、おしえてくださいませ。」

花梨それはねえ、あの奉納弓の場にいた全員がね、勝真さんの立射に見とれていたからだよ。帝も院も、大臣たちも。

勝真「.....それが理由?」

花梨そうよ。頼忠さん、よく貴族とかが、 『八葉はあんなに腕っぷしが弱くて役にたっているのか』とか 『顔で選ばれたんじゃないか』とか言ってるの、平気なふりして 実は気にしてたから。もうこれで、そーゆー人たちもだまるでしょうからね。

勝真「な、顔でって...失礼なっ!そりゃどこのどいつだ!!」

花梨どこのって...殿上人中かなりの人が...はは

勝真「.....」

花梨ただ、ねー、残りの参加者が。 頼忠さん、彰紋くん、幸鷹さんの3名の平均とって、的中率半分未満 なんだもん。これで管弦に出るから免除の泉水さんが加わって たら、おそろしいことに...

勝真「たしかにそりゃ恐ろしいことに.....しかしまあ、彰紋 なんて、儀式疲れで、意識モーローって感じだったからなあ。 そのへん差し引いてやったら?」

花梨ええ、彰紋くん見てると、 いくら積まれても東宮だけはやりたくないって思いますよね。 本人は帝よりかなりナシって言ってますけど...。 でも、頼忠さんと幸鷹さんは....2人とも武官でしょ! (注:勝真氏のおしごと京職は、分類上は文官である)

勝真「まあそうだな。別に弁護してやるつもりはないが、 頼忠と幸鷹については、 射礼は目もあてられないけど、現場で弓を引くときは、一応ちゃんと目標にあたってるんだから、別にいいんじゃないの?」

花梨え??そ、そんなことがあるの!

勝真「儀式用の武芸と、実践用はちょい違うからな。 どっちをマジメにやってるかっていうと...。」

花梨...いうと?

勝真「頼忠のは戦の弓だ。いつもひいてるのは射程80〜100m なんだから、射礼の28mじゃ、そら当たらんわ。」

花梨...そうだったんですか!

勝真「どーせあいつのことだから、御前の弓だからって 練習とかしないで、正直に実力そのまんまで引くんだろうからなあ。 剣の修行のついでにやっときゃいーのに。」

花梨そっか。うーん、剣の人って ちょっと気の毒ですね。(御前の剣の儀式は室町時代からだ もんね) じゃあ、幸鷹さんは??戦なんかしないでしょ?

勝真「幸鷹は、市街地の短い的ばっかりだけど、 きちんと狙えばほとんどはずしてないぜ。理由は、腕前じゃなくて、 弓だ」

花梨..ゆ、弓って、まさか。

勝真「別に改造は違法じゃない。でもありゃーないぜ。」

花梨まさか.....サイト(照準)がついてる?。」

勝真「ご名答。」

花梨は、、反則だーー()!


幸鷹「あ、やっぱ、ばれましたか?」

花梨幸鷹さんっ!あのねえ...

勝真「これは別当殿。そのけったいな弓を射礼にもちだされ なかったのには、私どもほっとしております。...なーんて。」

幸鷹「そりゃ神事ですから。勝真...殿も、いつもの大陸風 短弓ではなく、正式な和弓をもってこられたのには少々驚きました。」

勝真「...和弓に照準つけてるヒトに言われたくないね。」

幸鷹「しょーがないでしょ、そうしなきゃ当たらないんですから。」

勝真「ぷぷ..!アンタも正直だなあ。」

幸鷹「あの不合理な弓で、アナタなんで的に当たるんですか。」

勝真「どんな弓も、ちゃんと引けば当たるって!」

幸鷹「ええ、たしかに、すばらしかったですよ。弓を替えて、あれだけ 当てるとは、徹夜で練習とかしませんでした?」

勝真「いや徹夜までいかないけどそりゃー毎日...おい!! 何を言わせるんだ!」

幸鷹「やっぱり!いくらなんでもおかしいと思いましたよ。」

花梨そんな、練習するしないにかかわらず、 すごいですよ、勝真さん。」

勝真「あーあ...。」

幸鷹「..勝真殿、練習っていっても、アナタなら 何射か射る程度でしょう。」

勝真「..まあね。」

幸鷹「そのあなたが、何でいままで射礼に出なかった のですか?今回だって彰紋様が直接推薦して、しぶしぶ 出てきたってききましたが。」

勝真「...あんな堅苦しいとこで、堅苦しい弓ひいて、 おまえら楽しい?俺は怨霊退治の方がずっといいね!」

幸鷹「はは、なるほど。あなたらしいですね、 欲がないとゆーか。 では仕事があるので、私はこれで失礼します。」

花梨あ、はい。

勝真「....欲がない?...あの武官2人の方が よっぽど無いように見えたがな。な、花梨?」

花梨.....(それが条件 なんだよ、八葉の).......ところでね、勝真さん。 幸鷹さんも、ごきげんでしたね?

勝真「...........」




◆フロク

花梨こんにちは、頼忠さん。 今日のなんとかっていう弓の会には出なくていいんですか?

頼忠「これは神子どの。今日の賭弓は、近衛府と兵衛府の 衛士たちの対抗戦なのです。北面の武士は出番はありませんよ。」

花梨ああそうなんですか。 近衛と兵衛...あら、六衛府の中で衛門府は抜きなの? 靫負の司なのに?

頼忠「わざと抜かしているのだと思います。 ほとんど儀式しかやらない近衛府と、勤務場所が大内裏に 限られ前線にはめったに出ない兵衛府は、実戦中心の衛門府に対し、 貴族の職という認識があります。たぶん賭弓は、内裏の中だけで 雅にやりたいことなのでしょう。」

花梨 (うわあ、思いっきり視点がわかる説明文をありがとう頼忠さん^^;)。 はあ...儀式って色々めんどうなんですね。 どうりで、勝真さんも幸鷹さんも普通に 仕事してるわけだ。あ、そうだ。頼忠さん、お仕事中にひく弓も いつかみせてくださいね。

頼忠「え?はい、喜んで」

花梨..と言ってました、勝真さんが。」

頼忠「勝真が?いや、勝真殿が?」

花梨ええ。あ、勝真くんといえば。 4射×4戦、”16射皆中の君”について、けして口に出せない、 素朴な疑問が。

頼忠「院の御所でもみんな同じこと言ってますから、よろしいのではないで しょうか。言っても。本人がいないとこなら。」

花梨「『なぜ、あの男が”靫負の庁” (検非違使庁)にいないのだ?』..でしょ」

頼忠「....」

花梨....

頼忠「..本当にそのような職が除せられたら、 勝真殿、首つりそうですね。」

花梨いや、その前に舌かみますって。

頼忠「『別当殿の部下になるくらいなら!』..ですな」

花梨頼忠さんっっ何笑ってんですかっ。あのね、 私はアナタ方をなんとか仲良くさせるのが仕事なんだからねっ、笑いごとじゃ...もう ーーーっ...()!」


      ....なんか中途はんぱに、完


[Kaeru] ..