■1:機番ナシ・組み立てヴァイオリン
名前:機番も名前もないので7600とよんでます。
製造:中国のどこか。
発売:不明。本体内部にも箱にも説明書にも会社・ブランドの名前がはいっていない。
輸入:(株)鈴木楽器製作所(ハーモニカ、大正琴、メロディオンetc)
※あの有名なヴァイオリンの鈴木とは、まったく別の会社です。
購入先:なんでもかんでも
本体:手作りキットとありますが、本体はほぼ完成しています。
ただニスは塗ってない。
セット内容:4/4半完成品の本体と弓、弦、松脂。ケースなし
購入価格:セットで7600円
(すみません、ちょっと前まで6800円と表示してました^^;...)
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仕様
表:スプルース単板削りだし、とかいてある。少なくとも合板ではない。
裏板など:メイプルらしい。
全体:ムクの白木ではありません。ワックスのようなものが塗ってあります。
ペグ・指板・エンドピン:赤っぽい木材を黒く塗ってみがいたもの。
アジャスター:1個ついてます。
パーフリング:驚くなかれ、表裏とも本物。下の写真をみてね
駒:ロゴなしですが、模様からごく普通の駒と思われます。
弓:おそらくブラジルウッド。見た目はスギトウ弓そっくり...なんだけど、
標準の弓より1cm長い!ただ、弦は弓から1cm離れるくらいに張れるし、
フニャフニャしてるが、引けないわけではない。
※ヴァイオリンの基礎知識や用語はここかここをみてね。
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組み立て
・HOSCOの立派な手作りバイオリンキットとはまったくの別物です。半完成品で、
やることはテールピースをつけ、指板に溝をいれ、駒をたてて
弦をはるくらい。
・f字穴がやすりをかけてないので、軽くかけました。
・つまりこれ、弦を張ってないままでやってくるんですねえ。魂柱はどうなってるかというと、
表板のf字穴付近の高低差をみるとわかる。かなりきつめに立ててあります。
・とりあえず作ってみて、弾いてみる。するとおそらく、ほとんどの人はこの工程
以外にやることを発見するでしょう()。
・つまり、音は出るけど、き...聞くにたえないすごい音なのでアル()。
キンキンするかんじ。
・説明書には最低限必要なことしかのってない。無名の半完成ヴァイオリンの調整は、
ネットでみても事例がありません。さあ、どうする?
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自力調整
・とにかく。目の前の楽器の音色は、待っていたってかわりません。ネットで調べてみると....
あらますごい数の自作バイオリンのHPが....自作できるのなら、調整もできる...はず。
・ネットで売れ筋弦を調べ、弦を速攻でドミナントに変える。さ、さすがドミナント、すっごく音が改善されました。
元の中国の名前かいてない弦は、あまりにすごい音だったので、
保存してあります。アマティとかの1000万円くらいのやつに張ってみたいですねえ、ぜひ。
・次は...ちょっとめんどうですが、
どのHPでもニスが音の決め手とかかいてあるので、ニスは塗らないとまずそうです。しかし楽器用のニスは普通の店では売っていませんし、
通販ものは品薄かつ高価...。
入手できるニスの中で、ヴァイオリンに使えそうなもの。
選んだのは、白木用のニスの1つ「ワックスオイル」。
トルエン臭のない天然素材のオイルニスに、ワックスも
はいってるというものです。薄め液なんてラベンダーの香り。
この蜜蝋入り天然オイルニスは、近年登場したもので、このニスを使ったヴァイオリンは世界でただ1つでしょうね。...自己満足。
・塗っては干し、塗っては干し...のくりかえしです。オイルニスでも24時間もあれば乾くのですが、
演奏するのは乾いてから1日またないとだめです。
やってみてビックリ、ニスが乾いてないヴァイオリンって、とんでもない
音です!まず響かない。音が割れる、音程がずれる...etc。乾くと、うそのようにもとの安定した音にもどります。。
自作でしか体験できない(と思われる)この現象、ためしてみるとおもしろいですよ。
クレモナ時代から言われるとおり木は乾燥してないとまるでだめなんですね。
・ニスは各種HPに最低15回塗るとあるので、
そこまで塗ろう....思ったのですが()...非常にめんどうくさいです。
7回でお休み中。
しかし何度も塗っていると、勝手に上達してムラなく塗れるように
なるんですが、あまり応用が利かない技術ですなあ....
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☆ご注意☆
一般的に、楽器に詳しくない素人が、ここに書いたようなダイナミックなヴァイオリン調整をすることは、あまりよくないこととされております。
チャレンジされる場合は、ご覚悟を!(笑)

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自力調整2
・ニスを乾かしてる間に、ペグボックスとテールピースの木クズをとりました。
ええ、最初はどっさりついてまして。
・ついでにE線のペグがA線とぶつかるので、
Eのペグを削りました。テールピースなんて穴が切れてないので、
ナイフであけました。この加工はカッターではだめです。カトラリーから、
ステンレスのナイフを買いましょう。安いので十分です。
仕上げは100円ショップの紙やすりだんだん
手作りっぽくなってきました。
・駒の高さが高いみたいなので、少し削りました。駒調整のHPをみながら、
高さをナイフで調整したあと紙やすりで形を決めました。
ついでにE線がめりこんで
いたので上も削り、厚さも薄くしました。いやー7600ですと、この駒削りみたいな
普通なら素人は怖くて手を出さない調整も、何の遠慮もなくできていいですわ。
・こうなると。やっぱ弓、変えたい....弓をバイオリンパレット様より購入しました。もちろん
本体よりもずーっと高価なスギトウの弓です。
・弓で音が変わるのでしょうか?
答え。弓でこんなに違うの?というくらい、むっちゃくちゃ弾きやすくなりました。特にスラーが。音も当然よくなりました。そう、弓がついて7600円
なんですこれ・
新しい弓も高い弓ではない。毛箱がプラスチックですけど、別に性能に関係ないもんね。
・弓といっしょに松脂も変えました。これも高いのじゃないですが、粉が細かくて
とてもよく毛についてくれます。今思うと、付属の松脂は、粉がけばだっててすごいものでした...
ただ生まれて初めて見た松脂がこれだったので、それでいいのかと...()。
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普通の調整
・弦の調音。毎日ひく前にちょっとだけ行うもの。
しかし弦をとりかえるときには、大々的に行わなくてはならない。
むかしならピアノがあったけど今はない。
もちろん音感もない。でもできますよん。ネットの音楽理論のHPをあたり、
7音階メジャーのMIDIをきき、それに合わせればいいのです。
・弦の調整をしていると、駒が前に傾いてきます....そして、倒れます。
ものの本には「万が一駒が倒れた場合...」とかいてあるくらい、万が一のやばいこと
らしいのですが....そうねえ、少なく見積もって20回は駒倒しましたわホホホ。
何もしいてないけど、オイルニスのせいか、表板に傷はついてないです。
さすがに、今は倒しません。
・弦を変えました。ドミナントより安いチェコの「ワーチャル」社の合成ファイバー弦です。
EとAがアメティスト、
DとGがカルネオルという名前のを使ってます。たっぷりとした音という感じ。
A線が特につややかで美しい...ようなきがする。
・....と書いたのは半年前の2005年2月。この時、Warchal社の弦は輸入開始直後で、
ネットで検索しても使っている人なんていなかった。
私も購入理由は、4000円でおつりがくる安さと、買いたくなるような弦楽ストラッドさんの紹介文のためで、
ほとんどカン。
ところが現在(2005.9)、ふとみるとワーチャル社の取り扱い店が増えている...
ユーザーがいる。特にカルネオル。寸評もあって、あの一万円以上する上に使ってる
うちに伸びるガット弦Oliv(でもプロはこれを使う)と似た音だという。
フム、そう言われて聞いてみると急に高級感がでてきたような.....。
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結果
・さて、キンキンした、聞くにたえない音を出していた7600円、上記のような、素人の
豪快な調整(??)のあと、どうなったでしょう?見た目は、オイルニスの薄い黄色が
ついたくらいで、ほとんど変わってないですが....
・キーンという音はほぼ完全に消え、雑音も大きく減り、特にAとEは素晴らしい音で
鳴ります。素人が聞いても、最初のバイオリンと同じものとは思えない、いい音に
なりました。
・あちこちぶつけたし、上記のとおり、たいしたこと、やってないです。
高い材料も使ってないです。でも、これだけで、音がまったく変わってしまった。
・ただ、すべての組み立てヴァイオリンがこうなるとは思えません。
この7600は、木クズだらけで、荒削りだけど、本やHPにのっている「ヴァイオリンの
基本」なるものは、音質に関係する部分はすべてクリアしているのです。
表板がスプルース単板削りだし。表板、裏板、横板、指板いずれも傷がなくカーブもきれい。左右対称で、接着もしっかりしている(ようにみえる)。
ネックとハコのつなぎめ〜f字の中央までが19.5cmなど、各部の寸法が正確。魂柱も正しいと思われる位置に立っています。
うずまきはどうみても削ってる途中っていう感じだし、テールピースや糸巻きといった、使い勝手に関する部分はかなりひどいんですけど。
このように、7600は、低価格ヴァイオリンとして、作者が何を選んだかがはっきりわかるものでした。
・これが、ヴァイオリン。見た目同じにしか見えない楽器の、値段の差が100倍以上の
世界。垣間見た気がしました。
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★音叉チューニング★
・最初はMIDIをきいて、あわせていましたが、
いちいちパソコンの前に楽器をもっていかないとできないので、やっぱり
音叉かいました。
・調音は普通Aつまりラの音で合わせますよね。音叉もラです。
・音叉の使い方は次のとおり。音叉の取ってを手でもち、自分のヒザにコツンとぶつけて振動させ、すかさず音叉のはじにある丸い部分をヴァイオリンの駒にあてます。すると、ヴァイオリンが鳴ってAの音がでるのです。
・その音といっしょにA弦をはじき、同じ音がするまであわせます。
・他の弦はというと、よくHPや本に「弦は5度づつ離れているので...それで合わせる」とか、
書いてあるんですが....「できるか、そんなもん!」が初心者の正しい観想です。
・初心者は慣れ親しんだハ長調のドレミファソラシドで合わせましょう。
A線をラに合わせたら、次はDをレにあわせる。それには「レミファソラ」と指をおいて弦を弾いて
みればいいのです。ソとラの間がうまくつながらなかったら、D線の音が低すぎるのか高すぎるのかです。
・このような感じですべての弦をあわせたら、他の弦の影響で、最初にあわせたA線のラが間違いなく
狂っていますので、再度音叉で合わせ、めんどうですが、他の弦ももう1度あわせます。
これでおしまいです。
・音叉は金属などでたたいてはいけません。それでは振動しません。
・この音叉チューニングは安く、また機械を使うのと同じくらい正確だそうですが、欠点は
何度も何度もたたくのでヒザが痛くなることです。
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